What’s agar? 寒天について
The origin of agar 寒天の成り立ち
寒天は、テングサなどの海藻を原材料として作った「ところてん」を乾燥させたものです。
牛や豚から作られるゼラチンにも似ていますが、寒天は植物性です。
和菓子や料理に使われるだけではなく、健康食品やダイエット食品として有効なことが科学的にも認められています。江戸時代に生まれ、精進料理の食材として使われる際に「寒天」という名前が付けられました。
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History 寒天は日本で発明されました
余って捨てられたところてんが、天日で干されて寒天ができました。
海藻を煮てところてん(心太)を作る技術は、平安時代に遣唐使によって中国から伝えられたといわれています。
ところてんから寒天が生まれたのは1650年前後の江戸時代で、美濃屋太郎左衛門によってはじめて作られたという記録が残っています。
4代目将軍徳川家綱の頃、京都の伏見にあった美濃屋太郎左衛門の旅籠に、島津薩摩藩主が参勤交代で泊まったとき料理で残ったところてんを外に捨てておいたところ、凍結して自然乾燥し、干物となってしまいました。数日後太郎左衛門がこの干物を煮て、しばらく置いておいたところ、ところてんの臭みがなく白くて美しい無臭の食べ物になることを発見し、その後研究を重ねて寒天の製造方法を発明したといわれています。
当時はこれを「ところてんの乾物」と呼んでいたようですが、インゲン豆で有名な僧隠元が精進料理として賞賛し、「寒天」と名付けたといわれています。
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History 製造方法が完成し、関西が名産地に
約130年間、寒天は伏見の名産となり諸国に販売されていました。
京都の伏見で生まれた寒天は伏見の名産となり各地に販売されていましたが、当時の大阪府「摂津の国」の宮田半兵衛が美濃屋で手法を習い、1830年頃に改良した製造法を完成しました。
そこから徐々に大阪府、京都府、兵庫県の山間部に広まっていきました。
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History 寒天、信州に根付く
気候風土が最適な信州で、夏は農業、冬は寒天製造が主流となります。
信州の諏訪郡玉川村の小林灸左衛門が丹波の国で製造方法を取得し、信州で製造をはじめたのは天保年間(1830~43年)のこと。
気候風土が寒天製造に適していたことに加え、冬の閑散期に行う農家の副業として適切であったため、近隣の村々にも広がっていきました。
しかし、当時は原料の海草の輸送が困難であったため、あまり発展しませんでしたが、中央線開通によって一気に広がり、国内需要も増えたことから世界最大の産地となっていきました。
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天然寒天を守り続ける
気候に恵まれた諏訪地方で作る、天然寒天。
海外へ多く輸出していた寒天は、戦争によって輸出を禁じられ、海外では工業による寒天製造が行われるようになりました。国内でも戦後、工業による製造が増え、天然寒天は徐々に姿を消していきました。
現在では、当社で把握している限り、角寒天が信州、細寒天が岐阜で作られているのみです。
寒天は2005年2月にNHKテレビ番組「ためしてガッテン」で取り上げられ、大ブームを起こしました。
ちょうどその時期に寒天の製造が大詰めを迎えることから、長野県茅野商工会議所や長野県寒天加工業協同組合などが2月16日を「寒天の日」と制定しました。
今日では健康志向の高まりによって、スーパーなどで手軽に買うことができますが、ぜひ一度諏訪の天然寒天をお召し上がりください。
Seven effects of agar 寒天の7つの効果
天然の健康食品である寒天には、主に下記のような効果が期待できます。
肥満予防・改善 | 体内で皮下脂肪が増えるのを防ぎ、食べ過ぎを抑える。 |
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便秘予防・改善 | 腸内の腸壁を刺激し、しかも傷つけることなく排便を促す。 |
骨粗鬆症予防・改善 | ノンカロリーでありながら、繊維質の他にミネラルを多く含んでいるので骨を強くする。 |
大腸がん予防 | 善玉菌のビフィズス菌が増殖し、悪玉菌の発がん物質の吸収を防ぐ。 |
高血圧症予防 | 繊維質に含まれるアルギン酸が過剰なナトリウムと平衡を保つ働きをする。カリウムの吸収を助ける。 |
夏バテ予防・改善 | 腸内でビタミン群が合成されやすいように腸内の善玉細菌を増殖させる。 |
動脈硬化予防・改善 | 体血中コレステロール値が高くなるのを抑える。 |
Uses of agar 寒天の用途
寒天は、食品、医薬品、化粧品などに幅広く利用されています。
寒天は保水性や粘弾性、触感などから、食品以外にも多く用いられています。
ゼラチンに比べると凝固力が7~8倍高いため、ゼラチンの代用としても使われます。
- 食品 日本料理や精進料理をはじめとした料理はもちろん、羊羹、蜜豆、キャンデー、ゼリー、アイスクリームなど、多くの菓子類に使われています。
- 化粧品 親水性増粘およびゲル化や結合、粉体の表面改善などに用いられ、スキンケア、メイクアップ、ボディ・ハンドケア、洗顔料などにつか使われています。
- 製造工業 醸造時の清澄用や布・紙の糊付けなどに使われています。
- 学術 細菌培養基:1881年、ロベルト・コッホが寒天を用いた細菌培養法を開発し、全世界で利用されるようになりました。
- 歯科医療 歯並びの石膏模型を作るための印象材として使われています。
- 医薬品 低カロリー食品、粘滑剤、緩下剤、抗凝血剤、緩和剤、錠剤などに使われています。